| 白倉道生 ─エンドユーザーを意識した店舗デザイン |
|
|
| 作者 商業施設研究会 | 2008/04/25 金曜日 18:10:41 JST | |||||||||
|
とにかく人が好き。仕事やプライベートという枠にとらわれず、人生を楽しむことを第一にする白倉氏。生活のひとつひとつを楽しみ、学び、感じていくことで生まれる「感謝」の気持ちが、デザインやコンサルタントという仕事においても原動力となっている。特に活躍しているフィールドは、専門店をスタートとして現在はスーパーマーケットや量販店など、一般ユーザーにとって最も身近な商業施設。一過性のデザインが世にあふれる中で、とにかくまずは現場ありきのデザインをする数少ないデザイナーのひとりだ。
───店舗のデザインをされるときに考えていらっしゃることは何ですか?
現場を見てゼロからデザインを起こしていく
───かなり現場にこだわったお仕事をされていますね。 たとえ同じチェーン店であっても、ここの場所でここの地型では初めてなわけですから、 いつもゼロからスタートします。チェーン店だからもともと色や形を提案して、マニュアルをつくったのは僕なんですが、その横流しはしませんね。一旦ゼロに戻します。 必ずそこにどういう人たちが住んでいるか、どういう人たちがユーザーなのか、どんな人がいるからどんな空気の流れを必要とするのか、それをまずじっくり見る。色や形をガラっと変えてしまうんじゃなくて、ぱっと見たら同じだけど、実は見えないところに計算がある。その街の計算が。そこまでやる。だから現場に何回も行くわけです。時にはその地域を歩いてる人に質問したりしてね。 ───ずっとそのスタイルを続けて来られたのですか?
今みたいにスーパーや量販店
をやるようになったのは10年前ぐらいからです。アパレルの専門店なんかを手がけていたときは、高い予算をもらって
デザインをしていました。高い費用をかけてかっこいいデザインをして、「どう?かっこいいでしょ」っていう時代が僕にもありました(笑)。もちろん日常・非日常のショップの違いもありますけど、自分がデザインした作品を友達が見るだろう、作品が雑誌に載ったら仲間たちが見るかもしれない、そういう意識がなかなか外れなかった時代もありますね。 ───それでも現在スーパーマーケットや量販店を手がける、その魅力とは。
新しい仕事が来ると今でも、この予算でちゃんとできるか、自分の能力で力になれるか、とにかく不安で気持ちが一度「落ちる」。そこからどう
やってモチベーションを上げていくか。地域の人に触れたり、どうやったらエンドユーザーに伝わるか、そういうことを、頭じゃなくて命で考える、命で感じる、命で記憶する。そうしているうちに、この人たちに応えたい、このお店を成功させたい、そういう熱い想いが出てきます。 ───最後に、白倉さんにとってデザインとは? まず、デザインとアートは違うということですね。 アートが自己表現だとすれば、デザインはそれではいけないんですよね。デザインは、自分以外の素人の人に伝えなきゃいけない。ですからデザイナーはアーティストになっちゃいけないんです。その企業、お店のコンセプトをエンドユーザーに伝えなければいけない。他店とのコンセプトや商品の違いをよりわかりやすく伝える。デザインのやり方、仕事の仕方っていうのは、 学校で学んだ基礎学だけじゃなくて、人間同士で触れた過去の生き様の中から出てくるものです。自分がデザインするときに、つまり基礎知識を知恵に変えるとき、どういう風に生きてきたかで変わってくるんです。仕事もデザインも趣味も生き方も、全部がつながっている。だから仕事で伝えることと、ライフスタイルで伝えることは同じなんですよね。 |
||||||||||
|
|
|
白倉道生 Shirakura Michio |
![]() |
株式会社ターク 代表取締役会長 |
|
| 2000年にデザイン事務所㈱タツミキタハラとコンサルティング会社㈱アトラスウェイズが統合し、現在の株式会社タークへ。店舗のマーケティングからコンサルタント業務、設計・デザインなどをトータルで行う。また店舗用品を扱うジャストも運営。 | |
| 〒171-0021 東京都豊島区西池袋1丁目9番8号 阿部ビル TEL.03-5952-0481 FAX.03-5952-0480 URL: http://www.tak-net.co.jp |
|
|
|
|
| < 前へ | 次へ > |
|---|





僕がやっているのはスーパーや量販店だから、デザインの世界では今どういう素材が流行っていて、どういう形が「かっこいい」「おしゃれ」ということでデザインはしないです。店舗っていうのは、プロの為にあるわけじゃない。その企業の理念や商品っていうものを伝える為のもの。店舗というのはそういう立派な責任を担っている。そういう姿勢でデザインをしています。デザインに限らず、売り方、接客、マナー、商品の陳列まで全て相談して提案していくんですが、そのお店のエンドユーザー、自社の商品を一番知ってるのは僕じゃなくてやっぱりクライアントおよびスタッフの皆さん。ですから彼らがこの口のきけない商品の声を、色の組合せや並べ方でどうやってお客さんに伝えるのか。それは特別な才能じゃなくて、自分たちで感じてわかること。だからクライアントがオープン後に僕なんかを呼ばなくてもいいよう
になることが一番大切だと思っています。
たとえばスーパーの場合には、什器・設備に多額の費用がかかるから、専門店の内装のようにデザインにたくさんのお金はかけられない、またかける必要もありません。じゃあそれでも何でこの業界をやるのが楽しいか、好きなのか。それは僕は、おばちゃんたちが好きなんですよね。奥のほうからより良いものを探して、必死になってるおばちゃんたち。家族のために一生懸命な姿がかわいいじゃないですか。そんなおばちゃんたちに、いかにそのお店のコンセプトを伝えるか、いかに無駄なく商品を売るか。そういう想いで、1つ1つの仕事を「命懸け」でやっています。

