| 菊地達也(ヒビノ株式会社) ─プロデューサーの仕事とは |
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| 作者 商業施設研究会 | 2009/02/10 火曜日 17:05:42 JST | ||||||||||
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音響と映像の分野で日本のトップを走り続けるヒビノ株式会社。音響・映像関連の会社がまだ日本にほとんど無かった時代に、黎明期の頃からコンサートの音響
を手掛けたパイオニアがヒビノだ。今回は、この創立40年以上の老舗メーカーで、展示会やイベントのプロデューサーとして活躍する菊地達也氏に、プロデューサーという仕事について話を聞いた。
「必要なのは手帳、携帯、名刺とこのカバン、そして大きな志だけ」
プロデューサーのもう一つの仕事は、納期・工程の管理。展示会やイベントというのは、開催日、始まる時間が決まっているから、それに間に合わなければもうアウト。そういう時間の管理と、それから人とお金の管理。それを予算内に収められないのはプロデューサーとして失格です。 つまりプロデューサーの仕事というのは、クリエイティブの段階では、クライアントの要求を受けてそれをデザイナーにディレクションする。そしてそれに対しての評価をして、キャッチボールをする。そうやって出てきた良いものをクライアントに提示して、納得していただく。次にスタッフを組む。工程も全部自分で組む。その制作の管理もする。僕は制作会社(プロダクション)に丸投げということはしないですから、クライアントも含めた全体をマネジメントするんです。良きアドバイザーであり、コンサルタントであり、あるいはディレクションもやり、マネジメントもやり…その全てがプロデューサー。そのためには自分で全部を把握していないといけないんです。人の心も含めてね。スタッフに「がんばろうよ!」って声をかけてモチベーションを上げるのもプロデューサーの仕事ですから。 ───まずプロデューサーがいなければ、プロジェクトは動かないわけですね。 ある著名なプロデューサーの方の言葉で「プロデューサーはドライヴィングフォースである」と。動かす力、回す力、転がす力。つまりプロジェクトチームを正しい方向へ前に前に進める力が、プロデューサーです、と。プロデューサーの仕事はまさしくドライヴィングフォースなんです。チームをドライブする、仕事を前に推し進める、そして全体を管理する。だからコンダクターという言い方でもいいかもしれない。全体の調和をとりながら、指揮をする。 ───まさにプロジェクトの成功はプロデューサーにかかっていると言えます。どのようにして上手くチームを動かしていくのですか? 良い仕事をするためには、スタッフと同じ目線に降りることが大切だと思っています。上からの目線でああしろこうしろっていう接し方はしない。そういうやり方もあると思いますが、僕の場合はまず同等の目線で話す。その方が気持ちが通じる分、話が早いんですよ。でも逆に自分の目線を上げてみることも必要。真俯瞰から全体をばっと見渡して、締めるところは締める。やるとこはやる。でも話し合うときは降りる。だから上がったり降りたりですね。これはクライアントに対してもそうです。まさかクライアントの上には立てないですから、同等の目線か、それよりちょっと上に行くときがある。「そうじゃないんです。今回はこうなんです。だからこれでいきましょう!」って。僕がなぜクライアントに対してこういうことが言えるのかというと、僕にプロデューサーとしての自信があるからです。その自信の裏づけは何かというと、それはもう場数(キャリア)ですね。自信が持てるだけの場数。何本こなしてきたか。いっぱい失敗もしてきたし、いろんなハプニングがあるけど、それだけの引き出しがあるわけですよ。だからどんなことが起きても大体何とかしてしまう。それがプロデューサーですよね。何かがあったときに何とかする。それが本物のプロデューサーかな…。───経験こそが、プロデューサーにとって重要な要素の一つというわけですね。 もう一つポリシーとしていることが、僕はね、体験型のプロデューサーなんですよ。「リアルマーケティング理論」と自分で名付けたんですけど、実体験を基にして理論を組む。あらゆるものをまずは自分で試すんです。車なら自分で乗ってみる、時計なら自分でしてみる、レストランであれば食べてみる。プロデューサーというのは最高の価値のものを知った上でそれをリチューンするというか、本当に良いものを知っていると色んなレベルがわかるじゃないですか。たとえ何のプロデュースをするにしてもそのものの本質をわかった上で考えないと線がぶれますから。身銭を切って体験しないのはプロデューサーとして失格だと思っています。だから家内には僕を浪費家だと感じている部分があるかもしれないですけど(笑)。 ───具体的なお仕事の話を聞いていきたいと思います。展示会のプロデュースをする上で心がけていることは? 展示ブースというのは、目立ってナンボなんですよ。入ってみたいと思わせるブースがやっぱり一番だから。来場者の方に何かしらのインプレッションを残して、あとあと思い出してもらえるような。展示会って会期が1~2日だから、その中でどれくらいインパクトを出せるか。インパクト、インパクト、とにかくインパクトなんです。 事例1:ビュッフェ・クランポン株式会社
上:敷地をななめに区切り広さを出した 下:円形のサロンスペース
【クラシックのプロ演奏者の専有率が高いフランスのトップ管楽器老舗メーカー】 このブースの特徴は、まず四角い敷地をななめに対角に使った(右画像上)こと。そうすることによってブースがより大きく見える。そして円形のサロンスペース(右画像下)を設けた。著名なアーティストや音楽家がここに来て、試し吹きをしたり、お話をしたりするわけです。フランスの会社だけあってとにかくおしゃれで、ブースではワインのサービスもあるんですよ。それがこの世界の文化なんですよね。あと僕は曲線を非常によく使うんです。直線のほうがもちろんつくるのは簡単なんだけど、おもしろくないじゃない。だから曲面、曲線を多用している。そしてこのブルーがすごくきれいでしょう。これはこの会社のコーポレートカラーでビュッフェ・ブルーっていうんだけれど、そのブルーがきれいに出ることを意識したのと、楽器が映えるように楽器の後ろには白を使った。照明には楽器の金属がきれいに光るLEDの照明を使っています。光も含めて全部考えるんです。 事例2:株式会社トリニティ・セキュリティ・システムズ 【世界最高のセキュリティテクノロジーを使った無線LANシステムを提供する企業】 今まさにユビキタス社会の入口ということで、この案件に関してはまず僕自身が、この世界最高性能のセキュリティを持つ無線LANシステムに惚れ込んで取り組みました。クライアントからの最初の要望は「黒船」。黒船というと、アメリカから日本へ来た船というイメージが強いんですけど、クライアントがイメージしたのは、勝海舟の"咸臨丸"。つまり日本人が志を強く持って、自分たちの世界で唯一の技術を携えて、日本から海外に攻めていく船。だから初めは、黒船ということでデザイン(画像左)して、とりあえずコンペには勝った。だけどよくよく考えてみたらやっぱり黒船って、展示会には印象が重いじゃんない?って話になったのね。そうやって打合せをしていくうちにだんだんデザインが変わっていって、完成したのがこのブース(画像右)。こんな風に話を進めていくうちに大変換するっていうことはたまにあるんですよ。でもそういうことも仕方ないというか、一番はクライアントのイメージですから。ちょっと違うなぁと思われたままやるよりは、やっぱりクライアントのニーズで変えていくということは
左:黒船をイメージした当初のデザイン(パース) 右:実際のブース
───最後に、プロデューサーとしてやりがいを感じる瞬間は? プロデューサー冥利に尽きる瞬間というのは、お客さんに喜んでもらったときも含めてだけど、大きいプロジェクトがおわったとき、その瞬間、これは泣ける。全国を回る大きなプロジェクトが終わったときなんか、わんわん男泣きして、かっこ悪いからイスを収納する倉庫に入って泣いてたらスタッフがみんなで僕を探し回って…なんてこともあったぐらい(笑)思いが強いと、それが達成したときっていうのは、泣けるんですよ。その仕事を全うした、ミスや事故が無かった、お客さん、スタッフが喜んでいる。そういう姿を見るとやっぱりプロデューサーとして企画してきた側としては、本当に嬉しいですね。
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| 最終更新日 ( 2009/11/12 木曜日 12:05:57 JST ) | |||||||||||
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良い仕事をするためには、スタッフと同じ目線に降りることが大切だと思っています。上からの目線でああしろこうしろっていう接し方はしない。そういうやり方もあると思いますが、僕の場合はまず同等の目線で話す。その方が気持ちが通じる分、話が早いんですよ。でも逆に自分の目線を上げてみることも必要。真俯瞰から全体をばっと見渡して、締めるところは締める。やるとこはやる。でも話し合うときは降りる。だから上がったり降りたりですね。これはクライアントに対してもそうです。まさかクライアントの上には立てないですから、同等の目線か、それよりちょっと上に行くときがある。「そうじゃないんです。今回はこうなんです。だからこれでいきましょう!」って。僕がなぜクライアントに対してこういうことが言えるのかというと、僕にプロデューサーとしての自信があるからです。その自信の裏づけは何かというと、それはもう場数(キャリア)ですね。自信が持てるだけの場数。何本こなしてきたか。いっぱい失敗もしてきたし、いろんなハプニングがあるけど、それだけの引き出しがあるわけですよ。だからどんなことが起きても大体何とかしてしまう。それがプロデューサーですよね。何かがあったときに何とかする。それが本物のプロデューサーかな…。
プロデューサー冥利に尽きる瞬間というのは、お客さんに喜んでもらったときも含めてだけど、大きいプロジェクトがおわったとき、その瞬間、これは泣ける。全国を回る大きなプロジェクトが終わったときなんか、わんわん男泣きして、かっこ悪いからイスを収納する倉庫に入って泣いてたらスタッフがみんなで僕を探し回って…なんてこともあったぐらい(笑)思いが強いと、それが達成したときっていうのは、泣けるんですよ。その仕事を全うした、ミスや事故が無かった、お客さん、スタッフが喜んでいる。そういう姿を見るとやっぱりプロデューサーとして企画してきた側としては、本当に嬉しいですね。