HOME arrow スペシャルコラム arrow 展示会ルポ arrow Natural Products Expo WEST 2009
Natural Products Expo WEST 2009 プリント メール
作者 商業施設研究会    2009/04/02 木曜日 15:17:45 JST
jp04.jpg
コンベンションセンター(アナハイム)
3/5~3/8の4日間に渡って米国にて開催された、「NaturalProductsExpoWEST2009」を視察してきた。少しだけ企画のお手伝いをさせていただいた、日本の「JapanPavilion」ブースが今回の目的だ。健康食品や自然素材の製品を扱うこの総合見本市は、アナハイム(ロサンゼルスの南東約45km)のコンベンションセンターで毎年行われているもので、今年で29回を数える米国でも有数の展示会。オーガニックをテーマに、扱う製品は生鮮食品、加工食品、飲料はもちろん衣類や化粧品、ヨガをテーマにしたもの、お香、ペットフードなど多岐に渡り、米国内における自然志向商品への関心の高さがうかがえる。この世界的な不況にもかかわらず、年々その規模を拡大し、今年の来場者は昨年の4%増しの53,000人以上、28か国から1,900以上の企業が出展し、そのうち初出展の企業が482に上る、開催以来過去最高を記録したそうだ。「景気の冷え込みにもかかわらずこの展示会は大盛況であった」と伝えるメディアもあった。世界中からバイヤーが買い付けに訪れるBtoBの展示会ではあるが、オーガニックがテーマというだけあって、来場者もヒッピー風やカジュアルなファッションが多く、出展ブース自体も木などを使って、自然を連想させるデザインが目立っていた。

jp02.jpgさて、目的の「JapanPavilion」ブース。農林水産省がオーガナイザー、オペレーターをJETROが務め、米国でこれから事業を展開していく日本企業が合同で出展している。畜・海産物、わさびや黒酢、抹茶、かつお節など日本ならではの食材を外国人の舌に合うようにそれぞれ工夫をしてPRする。実演コーナーもあり、私たちが訪ねたときは「男前豆腐」の実演販売中。豆腐は肉などに代わるヘルシーフードとして米国ではかなり人気のようで、なかなかの賑わいを見せていた。また、JapanPavilion以外でも豆腐や緑茶・味噌・豆乳などを扱う米国内の企業ブースが多く見られ、日本食が健康食品として、
jp01.jpg
実演コーナー
さらに高級・高品質の食材として受け入れられ、注目されていることを実感。日本の大手メーカーも独立して出展しており、ITO園は緑茶のメーカーとしてはすでにおなじみ、ハウス食品も豆腐・大豆食品のメーカーとして認知されていた。



JapanPavilionの施工のコーディネーションを担当した米コンサルタント会社MSリサーチ (所在地:カリフォルニア州パサディナ)の酒井真弓さんに、こうした米国内での傾向や今回の出展について話を聞いた。

──まずこの展示会についてですが、年々規模が拡大していると聞きました。この不況においてなぜだと思われますか?jp_sakai.jpg

「健康志向の高まりもありますが、このような世界情勢において、富裕層が今までよりも少し生活のランクを下げて、お金をかけずに質の良いものを求めるという傾向にあります。そうした中で、より安価で安心できる自然なもの、ヘルシーなものにお金をかけやすくなっているのではないでしょうか。
jp_wa.jpg
上)韓国ブース 下)ジャパンパビリオン
今まで外食していた分が、こういった健康食品などに変化しているのだと思います。」

──今回のJapanPavilionは、どういったところにポイントを置いて企画されたんでしょうか?

「JapanPavilionは今回が初めての出展になります。大々的に米国で事業展開している大きな企業ではなく、今後米国に進出したいと考えている中小企業が集まってここに出展しています。
今回韓国の農水省も同じように出展しているんですが、あちらは『韓国』というお国の色を前面に出したブースデザインでした。というのも韓国の食材は日本の食材と比べると、においや味が強いということもあって、米国内ではまだ日本食ほど馴染みがありません。そのため、国を挙げて自国の食材をアピールしているという事情があります。それに対してJapan Pavilionは、豆腐にしろ味噌にしろ、すでに米国内ではヘルシーフードとして定着しているので、『日本』というお国の色を出すよりも、『和』のイメージでハイエンドな雰囲気を出しました。農水省から与えられたテーマも『日本』ではなく、『健康』『高級』『伝統』『地域』というものだったんです。」


たしかに、いわゆる外国人が日本に対して思い描く「ザ・ニッポン」というイメージではなく、扇子や寿司といった画像に、細身のゴシック体のアルファベットを品良く配置したバナーやサインが印象的である。JapanPavilionのデザインを担当したWPG(所在地:カリフォルニア州ロサンゼルス)のYoshi吐前(はんざき)氏にも、このブースデザインについてお話を聞くことができた。

──今回のブースデザインのポイントは?

jp_hanzaki.jpg「政府の仕事ということで予算の都合があり、デザイン自体が壁と柱という単純なものだったので、それをどう日本的に見せるかがテーマでした。だから色にはこだわりましたよ。何色も使ったら鬱陶しいので、日本の伝統色で3色ぐらいにしぼって微妙な色合いを出しました。
jp03.jpg
完成予想パース
あとは、こういった展示会はほんの何日間かの勝負。だから組み立てやすくてバラしやすい、なおかつ、どれだけ他と違ったものを出せるかということも考えました。プラスチックでつくれば薄く軽く、経費もかからずに済んだんですけど、今回は重厚感を出す為に本物の木を使っています。折角やるからには良いものを、と思って。プラスチックでつくっていたら全然イメージが違ったと思いますね。同じ色で同じラミネートを使っても今回のようなどっしりとした感じにはならなかったと思いますよ。」

──筆文字のサインが印象的でした。吐前さんは書道6段の腕前、ご自身で書かれたそうですね。

jp_ji.jpg
書道6段の腕前
「本当はもっと遊びたかったんですけど、分かりやすいほうがいいと思って。崩しすぎちゃうと外国の人はわからなくなっちゃうと思ったので、今回のは普通の字ですよ(笑)。
それにしても、無事故で無事におわって本当に良かったです。」

限られた予算の中で、何が日本らしく重要なのかを見極め、派手さはないものの素材と色使いへのこだわりで、日本の上品さをうまく演出している。そしてそこには、農水省から与えられたテーマである「健康」「高級」「伝統」がきちんと存在していた。和をイメージさせるのに最も重要な役割を占めるサインにもこだわりが光る。

このJapan Pavilionが、オーガーニックブーム、日本食ブームと相まって、さらに日本の食材を高品質な健康食品としてアピールする発信源となったことを確信する展示会であった。
最終更新日 ( 2009/05/25 月曜日 14:11:07 JST )